「キャリアパス」と聞くと、みんなが上を目指してのぼっていく“出世の階段”を思い浮かべるかもしれません。でも福祉の現場では、全員が管理職やトップを目指すわけじゃないですよね。そして——それで、いいんです。今日は、福祉ならではのキャリアパスの考え方を、やさしくお話しします。
「みんなが施設長を目指す」は、福祉には合わない
利用者さんが好きで、ずっと現場で支援していたい。そういう人が、福祉にはたくさんいます。
これは、出世できない“劣った人”なんかじゃありません。むしろ、その人にとっての“輝く場”のひとつ。全員が同じ山を、同じてっぺんに向かってのぼる必要は、ないんです。
スタートは、みんな「利用者支援」から
道は分かれても、始まりはみんな同じ。目の前の利用者さんと向き合うところからです。
そこで、うれしさや、この仕事の醍醐味を感じて、「あぁ、この仕事でよかったな」と思える。そうやって、だんだん“深まって”いきます。進歩というより、深化ですね。仕事の面白さが分かってくると、「もっと広げたい、自分だけじゃないな」と思えてくる。
そこから、道が分かれる
その「もっと広げたい」が、ふたつの方向に分かれていきます。ひとつは、利用者支援を、もっと極めていく道。もうひとつは、チームや組織、職場の環境を整えていく(マネジメントの)道。
役職で分かれるんじゃなくて、“気持ちの向き”で分かれていく感じです。
大事なのは、「どこまで見えているか」
福祉のキャリアパスは、「一般職→リーダー→管理職」という“位置”から入らないほうがいい、と私は思っています。そうじゃなくて、「利用者から、どこまで視野が広がったか」で見る。
目の前の利用者さんが見えている → フロアやチーム、ご家族が見えている → 地域や法人、世の中の動きまで見えている。この“見えている範囲”が広がっていくことが、成長なんです。
現場一筋も、ちゃんと“のぼって”いる
「現場一筋」は、その場に留まっているわけじゃありません。
先輩の真似で、意味も分からずやっていた頃から——自分で考えて動けるようになる。マンツーマンで手一杯だったのが、一人ひとりに心のゆとりを持って関われるようになる。「いま」への対応だけでなく、その人の“これから”まで考えられるようになる。
これも、立派な“のぼり”です。だから、現場一筋は決して頭打ちの道じゃない。深まった分は、ちゃんと認められていい。
モデルケース:ベテランに、もう一本の道を用意した
ある施設さんでは、「昇進=管理職になること」しか道がなくて、利用者支援が大好きなベテランさんが、「管理職はやりたくないけど、このままでいいのかな」とモヤモヤしていました。
そこで、“利用者支援を極める道”を、もう一本ちゃんと用意したんです。すると、そのベテランさんが「私は、この道で行きます」と、いきいきし始めた……そんなイメージです。
最後に、少しだけ
福祉の現場は、施設ごとにいろんな工夫があって、私も正直、みなさんが何をやっているのか、すごく知りたいんです。
まとめる必要はありません。まとまっていなくて大丈夫です。まとまっていたら、きっと解決しているはずですから。その、言葉にならないモヤモヤのまま、お聞かせください。
いつでも、どうぞお待ちしています。
